キックオフシンポジウムが開かれました

更新日:2023-04-14

 4月8日(土)にIMO2023 国際数学オリンピック日本大会 キックオフシンポジウム「国際数学オリンピックが拓く未来-2023年日本大会に向けて」が、東京大学大学院数理科学研究科棟大講義室にてオンライン同時配信もするハイブリッド方式で開催されました。

 IMO2023 実行委員長でJMO理事長の藤田岳彦・中央大学教授の挨拶で始まり、基調講演「数学オリンピックが与えてくれたもの- 問題とその先にあったもの」では、尾高悠志・京都大学准教授が2001年度アメリカ大会からイギリス大会、日本大会と3年連続でIMOに出場して金、銀、銀と3つのメダルを受けた経験を語りました。その後の数学研究生活を振り返りつつ、数学オリンピックの意義について「将来への様々なきっかけがちりばめられている場。人との出会いを楽しんでほしい」と熱く語りました。


★日本代表選手6人の挨拶「精一杯がんばります」

 続いて、日本代表選手6人と、主に代表経験者からなるサポートチーム4人の皆さんの紹介と挨拶がありました。皆、緊張しながらも一言ずつ抱負を語りました。

古屋 楽さん(筑波大学附属駒場高等学校3年) 「高校生活の間、ずっとIMOで海外の選手と交流したいという思いでやってきました。精一杯頑張りますのでよろしくお願いします」

林 康生さん(海城高等学校3年) 「中2の頃にJMOで予選落ちだった。そのときは雲の上の存在だった日本代表になれてとても嬉しいです。がんばりたいと思います」

狩野 慧志さん(長野県松本深志高等学校1年) 「かなり昔から数オリに出場して国際大会に出たいと思っていたので、かなってうれしいです。大会ではベストを尽くしたいです」

北村 隆之介さん(東京都立武蔵高等学校3年) 「昨年ノルウェー大会に出場し、今年は2回目。コンテストで結果を残すことはもちろんですが、コンテスト・それ以外共に思い切り楽しみたいと思います。よろしくお願いします」

小出 慶介さん(灘高等学校3年) 「金メダル目指して頑張ります」

若杉 直音さん(帝塚山学院泉ヶ丘高等学校1年) 「メダルを獲得したいと思います」

村上 聡梧さん(日本代表団団長・東京大学大学院数理科学研究科) 「選手が国際交流や試験においてうまく活動できるように、精一杯サポートしていこうと思います。よろしくお願いします」


★メダリストたちが語る「国際数学オリンピック」

 続くパネルディスカッションのテーマは「メダリストたちが語る国際数学オリンピック」。パネリストに尾高悠志さんのほか、中島さち子さん (ジャズピアニスト、 (株)steAm CEO:1996金/97銀メダル)、近藤宏樹さん (JMO 理事、JCIMO 委員長:2000銅/01銅/02銀メダル)、中村勇哉さん(東京大学助教、JCIMO 委員:05年銅メダル)を迎え、ラオちぐささんのファシリテートで、数学オリンピックに挑戦したきっかけ、国際大会での経験や、数学オリンピックが自分をどう作ったかについて語り合いました。


 選手6人も登壇し、予選参加者7010人の中から日本代表に選ばれるに至った日頃の勉強法を語りました。皆「ひたすら問題を解く」のはもちろんですが、「合宿などで知り合った仲間とTwitter、Discord等のアプリを使って、毎晩通話しながら解く」「AOPS (art of problem solving)というサイトで、各国の数オリの過去問をひたすら解いた」「オンラインの数学コンテスト(OMC)を、定期的に受けた」など、インターネットを活用していて、パネリストの皆さんも「自分の時はそこまで使えなかった」と感心した様子。 さらに昨年ノルウェー大会に参加した北村さんは「数オリの問題には主張や考え方が面白いものがたくさんある。解く過程で楽しむことを大事にして演習していました」。小出さんも、「心掛けていたのは、問題に潜むパターンを見つけること。どんな知識があればその問題が解けたか、どんな考え方を使ったのかを自分で考えてノートに書く。数学的な思考だけではなく、文系的な知識が必要だと思いました」と、独自の勉強法を披露し、そこから話題は「1つの問題を深く長く考え続ける」思考の話へと広がっていきました。

 最後に石井志保子JMO 理事(東京大学特任教授)が「選手たちは、これからさらにパワーアップして7月の大会に挑みます。パネリストを初め多くの元選手やシニアの数学者も裏方として入っています。どうぞ皆さま、ご支援よろしくお願いいたします」と挨拶しました。


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